レファミーコンテンツ ラブマーク lovemarks

イギリスの著名なCEOが書いた本の中に「ラブマーク」という概念が登場します。
これは、マーケティングをするうえで絶対に欠かせないものです。
マーケッターとしていろいろな経験を積んできた筆者が、ラブマークとマーケティングについて考察していきます。

▼目次

  1. CHAPTER1 | 「ナンバーワン」と「オンリーワン」、あなたはどっちを選ぶ?”
  2. CHAPTER2 | 存在感を高めるために…「ラブマーク」の作り方
  3. CHAPTER3 | 感性が理性を操ることもある。これがマーケティングに活用されると……?
  4. CHAPTER4 | ひらめく人と分析する人

 

CHAPTER1 |「ナンバーワン」と「オンリーワン」、あなたはどっちを選ぶ?

突然ですが、あなたがとある企業のトップに立つ人間だとします。経営方針や人事権など、すべてを握っている権力者です。
そのような立場にいるとして、「ナンバーワン」と「オンリーワン」、どちらを選びますか?

この選択は、あくまで個人の趣向によって異なるものなので、どちらが正しいという答えはありません。一人ひとりの考え方はそれぞれなので、答えやその理由は十人十色です。

それでもまずは、「ナンバーワン」と「オンリーワン」のどちらか選び、自分なりの理由を考えてみてください。その上で、マーケッターとして経験を積んできた筆者の考えに目を通してみてください。自分の答えと比較しながら読んでいくと、それなりの楽しみがあるかもしれません。

マーケッターが考える「オンリーワン」の大切さ

冒頭でお話した、「ナンバーワンとオンリーワンのどちらか1つを選んでください」という質問の背景には、マーケッターの肩書を持つ、私の長年の悩みが込められています。
マーケッターとしてプロジェクトを進める際、まずは既存サービスとの差別化や、売り出しの方向性を決めなければなりません。その中核にあるのが、「ナンバーワン」と「オンリーワン」どちらを選ぶ? ということなのです。

この選択を突き付けられたとき、私はいつも後者を選んできました。
「ナンバーワン」と「オンリーワン」、一見するとこの2つに大きな差はないように思われるでしょう。しかし、観点によっては全く異なる方向性を持っているのです。

まず、「ナンバーワン」は、多くのライバルと競争をし、見事1位を勝ち取ったWinner といえます。これをマーケットの言葉に置き換えると、売上1位、利用者数1位、好感度1位、支持率1位などと表すことができます。
このような結果を残すためには相当の努力が必要であり、結果に対する称賛も大きなものです。それもそのはず、現代の広大なマーケット市場で1位を獲得するというのは、決して簡単なことではないからです。

この一方で、「オンリーワン」は、人々に自分の存在価値を認めてもらった“代替不可”な存在といえます。多数の中で1位になったり、圧倒的勝者の称号を得たりなど、派手な称賛こそないものの、他にはないただ1つの存在という価値を得ることができます。
つまり、多くの敵を倒して「ナンバーワン」になるような派手さはありませんが、「オンリーワン」の存在になることで、おのずと「ナンバーワン」になれる道が開ける、ということになるのです。

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これまでの話をまとめると、やはり「ナンバーワン」の価値が強く、安定性や余裕があるように感じられます。
それでも私が「オンリーワン」にこだわるのは、「量的規模よりも存在感のほうが大切」だと考えているためです。

実際、マーケッターにとって、量的規模と存在感はどちらも無視できない要素であり、本来ならばどちらも追及すべきことといえます。しかし、どちらも同じように追及していては、莫大な時間と費用をかけることになるでしょう。どちらか1つを優先しながらマーケティングをしていくことで、より効率的に結果を残すことができます。
その上で、私が選んだのは存在感のほうでした。

再度繰り返しますが、これは優先順位の問題であり、どちらを選ぶのが正解かという問題ではありません。良し悪しを決めるものでもありません。

 

CHAPTER2 |存在感を高めるために…「ラブマーク」の作り方

私が量的規模よりも存在感を優先するのは、爆発的な人気が出つつも一時の流行りで終わってしまうブランドを作りたくないため。
私が生み出したいと思っているのは、長期的に人々に愛され、時代を超えてもなお語り継がれる、そんな生命力を持つブランドです。
このこだわりを実現するため、私が常に念頭に置いているのが「ラブマーク」という概念です。

ラブマークは、イギリスにある広告代理店「Saatchi & Saatchi」のCEO、ケビン・ロバーツの著書『永遠に愛されるブランド ラブマークの誕生(Lovemarks:The Future Beyond Brands、2005)』の中で書かれている概念です。
この本の中には、似ているようで異なる「ブランド」と「ラブマーク」の違いについて語られています。
ラブマークとは一体どのような概念なのか、詳しく掘り下げていきましょう。

ブランドは企業が作るもの。ラブマークは消費者が作るもの。

先述しているケビン・ロバーツの著書の中では、「ブランドは企業が作るが、ラブマークは消費者が作る」との意味を持つことが語られています。
この言葉は、「消費者に気に入られるためには、理性ではなく感性に訴えかけることが大切だ」と解釈することができます。
さらに噛み砕いた表現にすると、「消費者の頭に訴えかけるのではなく、心に訴えかけて攻略しろ」と言い換えられます。

一般的に、ブランド戦略を立てる際、ほとんどのマーケッターは消費者の理性的な部分に訴えかけようと考えます。少し言葉が悪いですが、「人の頭の中を攻略するのだ」「洗脳するのだ」という考え方です。

これに対しラブマークは、その名前の通り、「愛と同じように感性的な部分に訴えかけよう」という考え方をします。具体的な考え方は以下の通りです。

企業が作るブランド→消費者が作るラブマーク

・情報を与える → 関係性を大切にする
・消費者に認知される → 大衆に愛される
・普遍的なものを大切にする → 個人的な考えに柔軟に対応する
・一般向けに説明をする → 一人ひとりに愛を持って対応する
・品質に対する約束 → 感覚的なタッチ
・象徴化 → アイコン化
・規定に従う → お客様と新しいルールを作る
・説明 → 話し合い
・お金 → 心
・専門的 → 熱意的で創意的
・広告代理店 → アイディアカンパニー

 

CHAPTER3 |感性が理性を操ることもある。これがマーケティングに活用されると……?

人が何かを判断するとき、まずは理性が働くと思われがちです。しかし自分が気づかないうちに理性よりも先に感性が働き、心が動かされることによって判断をくだしていることもあります。

たとえば、テレビCMや電車の車内広告など、何気なく目にする広告がありますが、これらには人を説得する要素がたくさん含まれています。そのような広告を目にしたとき、人はまず理性的に解釈しようとする傾向があります。

しかし、興味をそそるようなキャッチコピーや感動を誘う写真などを使うことにより、理性よりも先に感性のほうに触れられているのです。
そして、その刺激された感性が理性を説得し、「これは合理的」「これは正しい」と判断させるのです。

つまり、自分では気がつかないうちに実は感性が働いていて、それによって理性的な判断をくだしていると勘違いしているのです。
この現象は恋愛のシーンでもよく起こります。

恋愛における場面でも実は感性が先に動いている

これまでの人生の中で、誰もが一度は体験してきたであろう恋愛におけるワンシーンを例に、感性と理性の働きについて見ていきましょう。

ある日、期待いっぱいの顔をした恋人があなたに質問をします。
「あなたは、私のどこが好き?」

唐突に繰り出されたその質問に対し、あなたはなんて答えようかと考え、口ごもってしまいました。
「えーと……、どこが好きっていきなり聞かれてもなぁ……。うーんと……」

考えると同時に、何か言葉を発してその場をつなげようと必死に口を動かしますが、気の利いた言葉が出てきません。
「だからつまりね、君を好きな理由は……えーっと、君はとても優しくて思いやりもあって、それで……」

恋人の好きなところ、そして恋人がそれを聞いて喜ぶであろう言葉を必死で考えながら答えるものの、相手はすでにあなたの話を聞いていません。
そして、2人の間には冷たくぎこちない空気だけが流れているのです。

どうでしょうか? これに似たような経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。
このよくあるワンシーンの中で、最も重要なポイントだといえるのが、「あなたが恋人の好きなところを即答できなかったからといえ、恋人のことを愛していないわけではない」ということです。

「私のどこが好き?」という質問に対して回答が遅くなってしまったのは、恋人を感性の部分で愛しているから。そして、それを言葉にして説明するには理性を働かさなければいけないから。感性の部分で感じているものを理性で呼び起こすためには、少しの時間が必要です。
そのため、即答できなくても仕方がなかったのです。

つまり、特に具体的な理由があって恋人を愛しているのではなく、愛していることにこそ理由がある、ということです。
これを言葉に表すのって、簡単なことではないですよね。

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CHAPTER4 |ひらめく人と分析する人

感性と理性についてあらゆる視点から考察したことで、ラブマークについても分かったことが多いでしょう。
ではここから、「ラブマークを作るにはどうしたらいいのか」についてお話していきます。

ラブマークをたくさん作り上げる人の共通点を見ていると、ひらめき型のクリエイティブタイプよりも、根気よく分析をしながらアイディアを出していくタイプのほうが多いといえます。そして、よりいい結果を残すのも後者のほうが多い傾向にあります。

一体どういうことかというと、ひらめくタイプの人は一見すると素晴らしいブランディングをします。キャッチーで魅力的、おもしろくて感覚的な広告は多くの人を魅了し、流行や人気を作り上げます。
しかし、このようにして作り上げたものはブームが過ぎるのも早く、ロングヒットにつなげるのは難しいのです。

すでに多くの研究によって明らかになっていますが、クリエイティブな魅力を持った広告の場合、広告自体には多くの関心や共感を得られるものの、ブランドの魅力や消費者の購買意欲までにはつながらないことが多いのです。

これは、広告で打ち出したインパクトのあるメッセージと、実際の製品価値やサービス状況に温度差があることに原因があります。
キャッチーなだけの言葉で取り繕った中身のない広告は、一時のブームで終わってしまうのです。
皮肉を交えると、ひらめくタイプの人が作った広告の宣伝文句は“良い言葉フェスティバル”になってしまっているのです。

このような失敗を犯さず、ラブマークを作り上げるためには、よく見聞きする洗練されたキャッチフレーズを応用するのではなく、宣伝対象となる製品やサービスの中から答えを見つけることが大切になります。
さらに言うと、他の人がおこなった宣伝やキャッチフレーズを借りるのではなく、自分が持っているものの中から引き出すことが必要なのです。

ラブマーク作りに失敗した企業の例

とある企業には、ラブマーク作りに失敗してしまった過去があります。
その企業は、世間をあっと言わせるようなクリエイティブで前衛的なCMを作りました。
「人が未来だ」という熱いメッセージを打ち出し、美しいモデルと美しい映像、そして心に訴えかける美しいメロディーが調和するそのCMは大ヒット。
シリーズ化もされ、あちらこちらで良い評価を得て、賞もたくさん取りました。

しかし、その企業の関連会社が経営の悪化などを理由に、希望退職者を募るようになりました。
しかもその希望退職者の対象に、新入社員まで含めたのです。

前途ある、そして未来のある新入社員までも希望退職者対象にしたことで、大ヒットを記録したCMとの矛盾をつかれ、結局そのCMは笑いものになってしまいました。
「人は物だ」「名誉退職が未来だ」などの皮肉もたくさん言われ、ラブマーク作りは失敗に終わってしまったのです。

結局、広告のキャンペーンはよかったものの、企業がその価値を上手く利用できなかったためにこのような失敗が生じてしまったといえます。
“良い言葉フェスティバル”によって外面の良いCMを作っても、中身が伴っていなければすぐにボロが出てしまうのです。
企業やブランドの実情とは程遠い広告だけでは、ラブマークを作り上げることはできなかったのです。

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ラブマークは、分析そして発掘をすること

価値のあるラブマークを作るためには、「何を見せたいのか」を悩む前に、「自分が何を見せることができるのか」「自分(製品やサービス)が持っているものは何か」を分析することが必要といえます。
自分にないものをどこかから持ってくるのではなく、製品やサービスの内容を深く掘り下げ、絶対に自信を持って宣伝できるものを見つけることが大切なのです。

もちろん、ひらめきから来るクリエイティブなアイディアも時には有効です。
しかし、ただひらめいたものをそのまま使用するのではなく、さらに分析を重ね、深く掘り下げて考え、ひらめきにプラスして独自的な何かを発掘できないか探すことが必要です。
ひらめきの中にオンリーワンのなにかを見つけたとき、はじめて人々を満足させられるメッセージを作ることができます。
これがつまり、ラブマークを作ること、といえます。

そのためには何よりも、コツコツと努力と経験を積み上げ、自分の能力を高めることが大切です。クリエイティブに縛られている人からすると、とても地味でオタクめいた作業に見えるかもしれません。
しかし、「ブランディング」「差別化」「ラブマーク」といった洗練された単語は、勤勉な努力があるからこそ実現できるものなのです。
より多くの時間を使って分析し、考え、悩むことによって良い結果が出るのです。

この分析と発掘をより質の良いものにするためには、オフィスやデスクでおこなうのではなく、日常の何気ないひとときにおこなうのがおすすめです。
オフィスにいるときには緊張感や責任感などが常にまとわりついているもの。
こういった緊迫した空間の中では頭を深く回転させることができません。
自宅でシャワーを浴びているときやテレビを見ているとき、ベッドに入ったときなど、リラックスできているときに分析と発掘をしてみてください。
ただし、プライベートに仕事を持ち込みすぎると奥様の機嫌を損ねてしまうかもしれないので、ほどほどに。

キャリアアクセラレーターの助言

ラブマークは、勤勉な努力とは切り離せない単語です。
結局、悩めば悩むほどに、それに対する結果が出るのです。
これはもちろん当然のことですよね。私自身、当たり前の退屈話をしていることもわかっています。
しかしもう一度、本当に価値ある分析と発掘ができているか、そしてオンリーワンの答えを導き出せているか、考えてみてください。
考えることがラブマークを作る第一歩になるのだから。

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original content By Shin Young Woong(原文)

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